児童養護施設について

1. 概  要

「児童養護施設」とは?

児童養護施設は俗に言う孤児院・被虐児童のためのシェルターです。
○保護者がいない
○親に養育困難の事情がある(経済・傷病的理由)
○虐待により措置をされた
といった理由により、学校から帰る家がない子供が、親の代わりに衣食住を提供される福祉施設です。全国に579の施設があり約3万人の子どもが生活をしています。

児童養護施設は、児童福祉法にもとづき運営され、子どもの生活や施設運営にかかわる費用は、基準にもとづき国と都道府県(指定都市)が半分ずつ支出しており、子どもの基本的な生活は保障されています。
満1歳~18歳に至るまでの子どもを対象とし、子どもの最善の利益や発達状況をかんがみて、必要がある場合は18歳を超えても対応していくケースもあります。

2. 子ども達の生活

虐待や親の傷病等様々な理由で暮らす家のない子どもが児童相談所に保護され福祉司によって各施設に送られます。子どもは施設で生活をして学校に行きます。
施設は子どもの人数配置によって大舎 中舎 小舎 グループホームの4種類に分かれています。最も一般的な形態の大舎制は20名以上の子ども達が共同生活し、食事も学校の寄宿舎のようで大きな食堂で一緒に食べるような作りになっています。またグループホームでは地域の一般住宅などに8名以下の子ども達が少人数で職員と生活しています。

施設では児童指導員・保育士が、家事・育児・自立支援・学校や実親との連携など子どもたちの生活全般をサポートし、福祉司と施設スタッフで連携をとりながら親族含めた親元へ帰すか養育家庭に迎えてもらうか施設で育てるかのおおよそ3パターンを検討していきます。

しかしそれらに対する施設スタッフの考え方は様々で…

○ 施設はあくまで施設。家族再統合を目指すべきだ
○ 施設だと十分に手をかけてあげられないから養育家庭にいかせたい
○ 施設に子どもを送る親なんかに子どもを帰す なんて考えるべきではない
○ 親元に帰したいが、今はまだ親の受け入れ態勢が十分ではない
…等々、 施設に入所する3万人の子どもにはそれぞれ3万通りのケースがあるのでその子にとってベストであろうケースを探っていきます。

また、入所児童の中にはADHD・自閉症などの発達障害を持つ子ども達の割合も少なくありません。
中でも多いのが、PDD(広汎性発達障害)と診断された子ども達で、彼らは典型的なADHDや自閉症というよりは軽度自閉を伴う多動といった複合的な要素を持っています。
情緒障害・発達障害を有する児童を治療・保護する『情緒障害児短期治療施設』という医師が配置されている施設もありますが、児童養護施設に比べてその数は少なく児童養護施設では、さまざまな理由をもつ子ども達がひとつの施設で一緒に生活しています。

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